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お母さん方の願いを適えるために、多くの啓発資料を作成しました。智頭病院に異動した当初は、「高熱なのに抗生物質が処方されない」不満の声が多くありました。子どもが高熱を呈し、一方、特効薬がない代表的なウイルスがアデノウイルスです。

ワクチンで感染を防げる、病状を軽くするウイルス感染症は、はしか(麻しん)、インフルエンザなどがあり、これらを VPD と総称しています。が、アデノウイルスは VPD でなく、"自前の免疫で治す"ことにないます。

予防接種がなく、特効薬もないアデノウイルス感染症は多様な病状を呈します。代表例が「咽頭結膜熱」です。保険診療が定着する以前は受診もままならず、発疹や目が赤くなる"はやり病"は忌み嫌われた時代がありました。この痕跡的な病名が"プール熱"です。

アデノウイルスには亜型が多くあり、40℃を超える高熱が5日~1週間程度も持続し、咽頭発赤が強く、一方、白目が赤くならない場合もあります。高熱にはならないけれど、白目が赤くなり易い型の流行もあります。かつ、"プール学習・遊び"をしない春や晩秋などにも流行するのです。

アデノウイルスの感染様式は、飛沫・接触感染です。"プール熱"は誤解を生みます。

家庭看護の要点は、脱水症を来さない、スープやめん類・ご飯類など炭水化物を主体に、与えるなどのケアが主体です。家族は、手指衛生・ノドのケアなどに努めます。

抗生物質全く効きません。安易に用いると、固有の免疫能に支障を来し、耐性菌を増やし、アレルギーの副反応も呈します。"百害あって一利なし"です。

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RSウイルス感染症は、2つの点で知られるようになりました。0歳からの保育園などでの集団生活が定着し、かつ、保険診療で迅速検査が出来るようになったことです。

鼻腔、ノド・咽頭を通じて感染する感染症はの代表はインフルエンザです。自身は、前任地の鳥取県立中央病院時代からピラミッドモデルを作成し、啓発してきました。

アデノウイルス、RSウイルスも同様です。

迅速検査がなかった時代は、病状経過・診察所見から「インフルエンザ」ですとお話し、かつ、家族の病状の有無・程度を評価してきました。鳥取県立中央病院はウイルス感染症の疫学調査に係る定点でした。「これは?!」と言う場合、了解を得て、咽頭拭い液を採取し、県の衛生環境研究所に託して、ウイルス分離をしていたのです。結果は約1か月後に、暫定、確定報告一覧として得ていました。ほぼ毎年、小生がインフルエンザ患者を見出していました。A香港型の場合でも、軽症例があることは確信していました。で、ピラミッドモデルを提唱していたのです。

​インフルエンザに係るピラミッドモデルが実証されたのは、2009年当時の新型インフルエンザ汎流行の際でした。

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